エクセルシア盛岡中央高校デジタルブック
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そういった条件も飲み込み、引き受けました。ありがたいことに、「子どもを名城先生に預けます」と言ってきてくださる方が多く、どんどん来ました。12月末の琉球放送のテレビ番組にも出演しました。約40日間で300名以上を集めることができました。さらに2年目は募集定員を大きく上回る約750名の優秀な生徒が受験しました。その後、沖尚から一番多い年で、国公立大学合格者230名を数えました。現在は145名から155名で私立難関大学を合わせると250名くらいが合格します。これは沖縄県が進学校を4校設置した影響でだいぶ侵食されてしまいました。しかし私立の高等学校はこういった現実に対応しながらも、理想を失わずに頑張らなければ存続できないのです。そのためには学校の職員ももちろんですが、生徒の皆さんも意識して、母校愛というものを持ち、学校の広告搭となり「盛岡中央高校のようにすばらしい生徒がいるところに、私の子供を入れたい」、このように思われなければならないのです。 私立の学校は、やっぱり生徒の皆さんも意識して道を歩いてもらいたいです。「あの生徒はバスの中で老人に席を譲る」「どこの高校か」「盛岡中央高校の生徒だ」「やっぱり盛岡中央高校の生徒は違うんだ」「ああいう学校にうちの子を入れたい」「うちの孫を入れたい」そうみんなに思ってもらえるような学校づくりを目指さなければなりません。沖尚の卒業生には頑張ってもらっています。本当に学校の広告塔になってくれています。医者、マスコミから学校の教員、あらゆる分野で活躍しています。そこで言われることは、「沖尚の卒業生は違いますね。連帯感があって、周りを明るくします」、そのような卒業生が多くいます。 進学至上主義の傾向はなくさなければなりません。現代にふさわしい人間作りを考えて教育を押し進めなければならない時代です。私ども沖縄尚学は、グローバル化時代を見すえ「強くて優しい文武両道のグローバル教養人」を育成することを目指さなければなりません。ですから皆さんも周りを明るくし、周りの人を喜ばせ安心させる。そのようなことに生きがいを感じて、頑張らなければいけないのです。周りの人を安心させ喜ばせる。学校の先生方を安心させ喜ばせる。親兄弟を安心させる。私立高校の生徒の皆さんは、このようなことを心掛けなければいけないと思います。■学歴よりも人間力で、周りを明るく  ところで、私は残念ながら学歴があまりありません。ある種の実力主義というのは、学歴がないといけないということが分かりませんでした。そのため、あとから短期大学に行きました(結婚後)。私の家内とは、ちょうど家内が琉球大学英文科1年生の時に出会いました。私がこれまで頑張れたのも私の家内の力がだいぶあったと思います。まず、私は自分の子どもをかまう時間が全然ありませんでした。自分の子どもに「お前良くできるな」とか「がんばれよ」とか言わない。ところが人様の子供はずっと見ていました。そして必ず心からのメッセージ、アドバイスを送ります。生徒は皆それに応えてくれます。そういう頑張り方でこれまでやってきました。ですから何か頼まれたとき断ったことはありません。普通でしたら、「あぁ大変だ。これは出来ない」と言うものです。私は、自分で言うのもおこがましいかもしれませんが、大げさにものを言いません。十やっても三か四しか言わない。一しかやらないのに十やったように周りに言う人もいます。それから、私は人を頼りません。我が道を行く。すごい迫力で黙々と頑張りました。 皆さん、これからはできるならば大学もレベルの高い大学に入る。これも人間力です。ただ、いい大学を出たらいい就職に結びつけてという、そういう考えで行くのではなく、みんなを喜ばせるという考え、それでいいのです。頑張った努力によって人間力が身についているはずです。しかし、私立高校が成り立つには、まだまだ進学実績というのは問われます。あの学校はいったい大学にどれだけ合格するだろうかと、世間は見ている。皆さんの学校はすごい勢いで、今、どんどん上昇気流に乗っています。これは先生方もさることながら、生徒の皆さんが学校の教えを素直に聞き入れて頑張っているからだと思います。今後も学校のために、自分自身のために、それから岩手県のためにも、皆さんは人材になるように頑張ってください。できるだけ多くの人が難関大学を目指して合格するようにしてください。繰り返しますが、別に難関大学に行けなかったからといって自分を卑下する必要は全然ないのです。私の生き方では、もう引き揚げて親がいない、学費がない、大学はあきらめました。その代わり実力主義で生きると決意し、そして実際その通りになりました。そのためには、もう普通の人の何倍も働かないと認められません。黙々と働いて頑張りました。いずれの道を選んでもいいのですが、何ができるかが問題になり岩手訪問中に訪れた花巻市羅須地人協会にて。宮沢賢治の従兄の子にあたる宮沢啓祐花巻商工会議所会頭(右から二番目)。EXCELSIOR vol.18129

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