エクセルシア盛岡中央高校デジタルブック
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■高まっている中国学生の留学熱 今回フォーラムの基調講演では、旦大學附属中學校長が、現代中国の高等学校教育の未来像を、私たちに語りかけてくれました。その校長先生の随行者として盛岡を初訪問してくれたのが、株式会社日中文化交流センター(本社:上海市)の代表取締役の李欣立氏と渡邉まどか(GES東京支社)さん。ここに紹介する「孔子学院」(CONFUCIUS INSTITUTE)という知的な啓蒙雑誌は、その渡邉さんが、中国北京で発行されているものを高校や専門学校、日本語学科を設置している本法人へ贈ってくれたものです。中国をもっと知りたい、中国へ留学したい、そんな若い読者を想定して刊行されています。 渡邉さんは、流暢な中国語を駆使する中国留学経験者で、自らの専攻を生かしたやりがいのある仕事で活躍されています。GES社は、中国の最新の留学動向を調査・把握して、中国大陸から早稲田大学、上智大学、同志社大学、立命館大学、そして千葉大学などの名門校へ、毎年、数千名の中国人留学生を、日本をふくめ、世界中の海外大学へ送りだしている教育サービス企業です。とくに日本へは、短期中期の交換留学プログラムを開発して、日中間の友好的な国際教育交流活動にも貢献しています。明るく行動力旺盛な李社長は、高校時代、上海旦大學附属中に在学し、校長の教え子とのことでした。■中国版「センター試験」への挑戦 さて隔月刊「孔子学院」誌は、日本人の読者を想定しているので、食文化、芸術、観光など、日本語と中国語の記事が対訳で掲載されています。カラフルな写真も豊富で、特集や時事的な話題、中国語を学ぶ読者のため、その読解問題や解説の頁もあります。A4判より少し小さめですが約80頁の構成・内容は充実していて、電子版雑誌も同時に読める等、高校生や大学生にも手軽に楽しく「現代中国が手に取るようにわかる」工夫がなされています。 第36号の特集は「高考」、つまり中国版センター試験。その「高考」に日本人高校生が挑戦し、みごとに北京大学に合格した手記は印象深い。中三のときあることがショックで精神を病んでしまった少女が、親類を頼って単身で大連市に渡り、現地の高校に進学。北京大学留学生試験にパスするまでの過程を率直に綴っていて感動的な物語となっています。もちろん「高考」の位置付けは、中国社会独特の「儀式とも言える人生の経歴」となります。この特集では、その歴史、費用、受験科目等、最新の全体像がクロ―ズアップされています。■大学生の就職と集会文化 第37号では「就職」の特集です。中国では毎年800万人の大学生が卒業し、就職戦線は厳しい。「鉄飯椀」と呼ばれるのが、国営企業、著名外資系会社、上場企業や公務員への就職を指す。その意味は「鉄の茶碗:国に関係している職業は、国が無くならない限り倒産せず安定しているため、こうした職業は割れない鉄でつくった椀のように安定している」。日本とさして変わりはない。同様に、人気就職業界のトップ3は、旦大學では金融20.92%、医療・衛生20.51%、IT・通信・電子・インターネット14.48%と先進国共通の傾向を示している。これが同大学の修士課程卒では、金融が27.72%と比重が一段と高まるから、それだけ優秀な人材が求められている業界だということがわかります。 第38号は2016年9月号。「聚会」(集まり)が特集されています。かの王羲之が書いた『蘭亭集序』は、西暦353年、古代の春のピクニックのような集まりの際、後代「書聖」とあがめられる王羲之が、平泉の毛越寺などでも行なわれていた「曲水の宴」などの趣向を遊び楽しみ、「酒興に乗って一気に書き上げたもの」と言われ、これが究極の集会と伝説化されています。集い、集まり、会合にはいろいろな形がありますが、文芸ならずとも飲茶、囲碁、将棋、音楽、食事等を、家族や仲間と楽しみ尽くす文化が中国には連綿と伝わっているのです。 この雑誌「孔子学院」は、本校図書室に架蔵・閲覧されています。(編集部)雑誌「孔子学院」の中身『現代中国を知る—「孔子学院」の世界』雑誌「孔子学院」ブックレビューBook ReviewEXCELSIOR vol.1820

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