エクセルシア盛岡中央高校デジタルブック Vol.20
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わり出しました。学校で日本語を話す機会がなくなり、それと同時に不安が強まってきました。ここからは「他人を頼らず、挑戦してみよう。」と、決意を固めて取り組みました。 中期になると少しずつ慣れてきて、前よりは聞き取れるようになってきたこともあり、途中から来た同じクラスになったオーストリアからの留学生のソフィとは話すようになりました。しかし、その会話のきっかけはほとんどソフィからで、私から話しかけることはあまりありませんでした。東京の加藤さんは自分から積極的に英語を使って話しかけていました。ある時、なぜ、そんなに流暢に話せるのか聞くと、「英語を勉強しに来ている留学生だから、英語を失敗するのは当然のこと。日本人からすると流暢に聞こえるかもしれないけど、ネイティブの人には何度も聞き返される。だから、とりあえず自分のできる限りの英語で説明すれば相手も理解してくれる。理解してくれなくても、諦めないことが大切」と話していました。実際に加藤さんはいろいろな言い方で相手に意思を伝えようとしていて、英語を話そうとしなかった私よりもはるかに英語力が身についていました。 半年が過ぎた頃に、ホームステイに新しいブラジルからのホストメイトが来ました。前期のホストメイトとほとんど話さなかったので、今度こそは自分から話しかけようと思い、新しいホストメイトに積極的に話しかけてみることにしました。それまでは自分の英語に自信がなかったので自分から話しかけることが恐かったのですが、もうすぐ留学が終わってしまうという焦りから、思い切って話しかけることができたのだと思います。話しかけてみると、自分が思っていたより通じて、相手も笑顔で対応してくれました。そこから少しずつ自分から話しかけるようになりました。3学期まではあまり話さなかった生徒と4学期に入ってから少しずつ話すようになりました。今振り返ると、約半年の間は自分の英語では通じないと勝手に思い込んでいました。一度通じなくても何回か繰り返したり言い方を変えたりすると案外通じたので、それが嬉しくて話すようになりました。学校の課題にもだいぶ慣れて、提出期限までに条件を満たして余裕をもって課題を提出できるようになり、分からないところは自分から聞くようにもなりました。 留学を通して、事前準備の大切さと自分に自信を持つことの大切さを学びました。この留学中に、留学前から単語や文法をしっかり勉強していればよかった、もっとALTの先生と英語で話して英語に慣れていればよかったと、何度も何度も後悔しました。留学前にこれらのことをしっかりしていれば、留学生活もだいぶ変わっていたかもしれません。そして、ずっと自分に自信がなく、失敗するのが恐くてなかなか行動に移れませんでしたが、思っているより周りは気にしていません。失敗することを恐れずに積極的になり、諦めないことが大切だと思いました。 留学中に、いろいろな人に「日本のどこから来たの?」と聞かれることが多くありました。「岩手です」と答えると、必ず「岩手って、どこ?」という反応をされ、知名度の低さを改めて実感しました。東京はもちろん、京都、大阪、北海道などの都市は有名なので知っている人という人や、観光で行ったことがあるという人が多かったです。そして、私よりも海外の方のほうが日本の様々な土地に行っていて、私よりも日本のことに詳しいのではないかと驚かされました。私は地元である岩手についてすらあまり知らず、簡単な紹介すらできませんでした。岩手の知名度を上げ、外国人観光客を増やすにはどうしたらいいのかと思うと同時に、そもそも自分の国のことにもっと興味を持ち、少なくとも自分の住んでいる地域だけでも人に簡単な紹介をできるくらいは知るべきだと思いました。 実は、帰国3日前まで1週間ほど入院していました。人生で初めての入院で、更に海外の病院ということで不安でした。帰国後、先生から聞くと留学中の入院は20年間で私が初めてでした。ここでオーストラリアの病院を紹介します。看護師さんがとても優しくて安心できました。オーストラリアの病院は、自由に出入りできるキッチンがあったり、飲食できたり、映画が見放題だったりと、子供がリラックスできるようになっているような雰囲気であると感じました。クリスマスが近かったこともあり、サンタクロースが病室を回っていたり、犬を連れて病室を回るボランティアさんがいたりと、オーストラリアでの入院生活があまり苦にはなりませんでした。 今後の目標としては、高校3年生の第2回の英検までに準1級を取得し、国際関係学部に進学したいと思っています。将来的には、英語を使った仕事に就くことを目標としています。目標を達成するために、今まで以上に勉強に励みたいと思います。 最後に、この留学では先生方や留学コーディネーターさんなど、たくさんの方々に支えられていることを実感しました。特に家族にはたくさん迷惑をかけ、感謝してもしきれないほどです。支えてくださった皆さんには心から感謝しています。 ありがとうございました。Study Abroad Program in Australia 1年間留学プログラムEXCELSIOR vol.20 ◆ CHUO国際教育フォーラム20回記念号81

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