エクセルシアVol.21
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てきており、女性がハラスメントの被害を訴える部署も設立された。UK:ある仕事に応募するときに、志願者は自分の履歴書に写真を添付しない。この厳しいルールによって、採用時に容姿で差別することができなくなった。雇用者は女性に尊敬をもって接する。そしてハラスメントを通報する手順も決まっている。しかし、このシステムを使うことにすべての女性が満足しているわけではないし、公正に裁かれるという保証もない。韓国:韓国では賃金は雇用時には男女平等だが、女性の産休によって男女差が生じるようになっている。70%の既婚女性で妊娠する前に雇用された人は、出産を契機にキャリアの中断を経験している。それは、仕事と育児の両立の難しさや企業の不公平な育児休暇に起因している。オーストラリア:新生児を主に世話する人は、18週間の有給休暇を得られ、新生児の世話は多くの場合、母親によって担われる。夫や、パートナーは2週間の育児休暇を取ることができる。オーストラリアの託児所は高額であり、1日200ドルもかかる。つまり、仕事を辞めて家で子供の面倒を見た方がより経済的だということになる。 職場環境の質と機会が世界中の職場でみられる問題である。そしてそれは、女性だけの問題ではない。2015年にEEOCに通報された17.1%のセクシャルハラスメントは、男性によるものであり、その数は増加している。それゆえ、安全で健康的な職場は社会のすべての人のためになるのだ。しかし、どうやってそのような職場を作り出したらよいのだろうか。以下のような解決策を提案する。 セクシャルハラスメントと闘うための職場での研修会。研修会はまた、産業内部の変更、例えばどのように新しい技術を使うかなどについて研修を行うことで、産休明けの女性の職場復帰を手助けし、そのような産休明けの女性を雇用する会社を増やすことができるだろう。一般的な労働時間帯に、政府による機構的な子育て支援のサービスを設けることは、出産後の両親が仕事に戻ることを奨励し、働く母親を支援することになる。 社会や人々の考え方を変えるためには産休と男性の育児休暇を増やす必要がある。育児は必ずしも女性がすべき仕事ではない。 最後に、男性の育児休暇の延長、男性がより簡単に育児休暇をとれるようにすること、そして、男性に育児休暇を取ることを奨励することは女性の負担を軽減することにつながる。 パートタイムで働いている両親、フレックスタイムで働く権利と、フレックスな労働の可能性を擁護する法律は、働きながら子育てをする親を支援することになる。伝統 伝統はとても複雑で昔からある問題であり、簡単に対処できるようなものではない。昔のルールが現在まで続いている。それが今日の男性優位の社会を作っており、この問題は世界中のどこの国にもみられることである。以下は各国からの例である。インドネシア:一般的な考え方は、男性が家族の中心であり、女性は家にいて子供の世話をするというものである。これはインドネシアの主要宗教である、イスラームによる。イスラームにおいて、男性は家族の中心であるということが宗教上の義務なのである。オーストラリア・UK:社会通念というものは、懐疑されることがなく、そのことがジェンダーのステレオタイプを生き残らせている。メディアはそのようなステレオタイプの再生、持続を手助けしている。広告などで、掃除用品の宣伝をしているのは、多くの場合女性である。日本:儒教は日本の重要な伝統である。儒教によれば男性は女性の優位に立つものである。日本の歴史をとおして男性優位は保たれており、最近変化がわずかにみられるようになっただけである。台湾:台湾には多くのステレオタイプが存在している。たとえば女性は働けない、男性に従わなければならないなど。しかし台湾の若者たちはこのステレオタイプを壊そうと活動している。ただ、変化はいまだ緩慢である。韓国:17世紀に紹介された儒教は現代の韓国のジェンダーの平等にも影響を及ぼしている。男は外に働きにいき、女は家で子供の世話をするということになっている。さらに30%の韓国の男性が家事を分担すEXCELSIOR vol.2130

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