岩手県にある盛岡中央高校の国際Rコースは、豊かな人間性・国際性を育む高校留学プログラムです

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学べる幸せ

渡邊 日菜子

帰国報告会2018

私は、シドニーのデイビットソンハイスクールに一年間留学して来ました。
 私は、将来キャビンアテンダントを目指しています。海外にもともと興味があり、また、私にとって、一年間留学はとても魅力的でした。その目標達成のためには、英語力が不可欠だと考えただ漠然と、長期間の滞在を経験しなければならないと思っていました。中学三年時、高校を決める時にはインターネットで、海外に行くことのできる学校を探し、この中央高校で一年間留学できるコースに興味を持ちました。

1 楽観視していた自分

私が留学の目的として考えていたのは、三つあります。一つ目は英語力を向上させること、二つ目はコミュニケーションにおいて臨機応変に対応できる力をつけること、三つ目は自立することでした。留学前の学校生活は、友達と楽しみなことについて話したり、体験してみたいことを話したりと、不安より楽しみの方が大きかったと思います。英語力についても、理解不足であることはわかっていましたが、「なんとかなるんじゃないか。」とかなり楽観視していた部分もあります。また、留学説明会の時に、家事や身の回りのことが一人でできないとホストファミリーとの生活に困ると中央の及川先生方が話していました。それから焦って食器洗いや掃除などの家の手伝いを始めました。手伝いは、今まであまりしたこともなく、なかなか身につかず留学前になってもできないことが多々ありました。  いざ、留学先での生活が始まると、オーストラリアの雰囲気、気候、岡山から来た仲間たちの気迫の凄さなど全てに圧倒され、楽観視していた自分をとても後悔しました。生活していく中で、特にホストファミリーとの会話、現地の先生とのコミュニケーションにとても苦労しました。最初の2ヶ月は、ホストマザーが何を聞いているのかわからない、質問の意味はわかっても答えられない、ということがよくありました。

2 コミュニケーションのきっかけ

私は、ホストマザーが一人で住んでいるホームステイ先でしたので、遠慮せずに気軽にホストに話しかけることができたことで成果も早く感じられました。文法の構成ができていない私の英語も理解しようと耳を傾けてくれたことに感謝しています。最初は英語が理解できず、自分の伝えたいことも言えない状況から、ホストの前でいきなり泣いてしまったこともあります。毎日違った話題を優しく提供してくださり、コミュニケーションのきっかけが得られたのは自分への励みとなりました。
また、留学前、日本での家事手伝いの準備もあって、ホームステイ先では、主に野菜を切ったり、テーブルの準備、皿洗いをしたりしました。テーブルの準備は、すぐに覚えてできるようになりましたが、野菜を切るのにすごく手惑いました。思っていた以上に野菜が固かったり、目にしみたりと大苦戦しました。しかし、ホストと話すきっかけが欲しくて頑張り続けました。時には、皿洗に使う洗剤に慣れないこともあり、高価な食器を5枚割ってしまいました。その時、ホストマザーもびっくりしていましたが、私もびっくりしました。改めて自分の出来なさにがっかりしました。

3 話し出す勇気も自信もない私

留学の半分が過ぎた頃、学校の授業や生活中の会話など話している内容が理解できるようになり、自分の意思も少しずつ伝えられるようになりました。その一方で、1対1で話す環境に慣れてしまい、友達の前で話そうとしても「伝わるだろうか。」「話していいのかな。」など余計なことまで考えてしまうようになりました。集団の中ではなかなか自分から話し出すきっかけをつかむことができませんでした。周りの生徒が、どんどん自分の意見を言えるように成長していく中、話し出す勇気も自信もない私は、周囲との英語力の差が広がっているという現実から、焦りと不安が募る一方でした。いい解決策が思いつかず、とにかくホストとたくさん話すように心がけました。分からないことがあったら、恥ずかしがらずに聞いたり、話題を広げたり、とにかくたくさん会話をしました。進歩は少しずつ現れました。ホストと話す時間が増えて、友達の前でも自分から話を切り出せるようになりました。何よりも、自信なさが会話を切り出すことを邪魔していたのです。
手伝いにおいては、何回も野菜を切っているうちに、最初とは比べ物にならないくらい早くなり、シェフ級の腕になったような気がします。皿洗いにも慣れ、手際よく作業できるようになりました。

4 目標であった「自立」

留学後期に、1ヶ月だけ違う4人家族のホストファミリーのお家にお世話になりました。自分から話す、話を広げることができるようになっていたので、四人家族との生活でも会話には困りませんでした。今までは、ホストマザーと2人で過ごしていたので、臨時ではありましたが4人家族の一員として暮らせることは、とても楽しく有意義な時間でした。家族同士で会話をしているのを聞くことも勉強になり、自分の考えも深まりました。「もしも、私が最初の英語力でたくさんの家族と過ごすことになったとしたら・・・。」もっと長い間話せなかったのではないかと思います。友達にも、自分から話しかけることや、自分の意見を伝えることができるようになったことは何よりも実感しました。また、手伝いを通して、野菜を早く切れるようになったり、テーブルの準備の仕方を覚えたり、皿洗いが上達したことは私の目標の一つであった「自立」につながったと思います。ホストと話すきっかけのために始めた手伝いですが、今では楽しみとなりました。最初、壊滅的な英語力だった私に、根気強く、わかりやすく、理解できるように協力してくださったホストマザー、手伝いを通してたくさん教えてくださったことにとても感謝しています。

5 世界の課題・物事の本質

シドニーのICETプログラムには、理解し合い、お互いを尊敬し、受け入れるという意味で毎年開催される、URAフォーラムがあります。たくさんのバックグラウンドを持つ約80人の生徒が集まり、世界の問題について話し合う場です。私は、世界の貧困問題について話し合いました。中でも、学校に行きたくても行けない子供達についてのトピックについて、グループで貧困について詳しく調べたことを発表しました。そのあと、このトピックに興味がある有志の人たちで集まり、更に深く話し合いました。貧困はとても抜け出すことが難しいのです。親の収入が低いことが関係することから、十分な教育を受けられない子供達が増え、その子供が親となりと、負のサイクルが続きます。私たちに何ができるのかを考えました。これといったこの問題をすぐに解決するような解決策は思いつかなかったものの、いろいろな観点からの他人と意見を交換することができました。貧困をなくすために、ボランティアなどの私たちができる身近なことから始めていくことが第一歩です。私たちだけでは、考えつかなかったかもしれない世界の課題、物事の本質を知ることができる素晴らしい機会を設けてくださった現地の先生方に感謝します。

6 私が描く未来

「自分でアクションを起こさなければ何一つ変わることはない」という言葉を身に染みて実感することとなった留学であり、目標の二つ目であったコミュニケーションにおいて臨機応変に対応できる力を感じることができました。
 私にとって留学は、今まで生きてきた中での最大のチャレンジであり、大きなチャンスでした。この一年は、忘れられないことばかりです。後悔がないといえば嘘になります。もっと頑張れたのではないかと思うこと、やれたこと、たくさんあったと思います。でも、努力し続けた留学は、自分の自信となったことを確信しています。
「あなたが描く未来はどんな絵ですか?それは、あなたが決めることです。」
この言葉は、ICET校長の原田房枝先生が私たちにくださった最後の言葉です。留学の成果がどのような形で身になるかわかりませんが、私が目指すべきフライトアテンダントという夢の実現に向けて学力面だけでなく、精神的にも強くなることを宣言したいと思います。

7 終わりに

私に関わってくださった方々全ての人に恩返しができるような人生にしたいです。この留学を支えてくださった、ホストファミリー、現地の先生、中央の先生方、友達、家族全員に感謝します。
ありがとうございました。